子ども時間のやり直し 昆虫あれこれ

どろんこで誕生

  どろんこで誕生

蝉の種類というのを、人はどのくらい知っているのだろう。
私は詳しくないので、ツクツクボウシやヒグラシのような特徴的な鳴き声の蝉以外は、みんな「ミンミンゼミ」くらいに思っていた。

それは7月半ばの梅雨の晴れ間、徒長してしまったリナム ペレンネ アルバ(宿根アマ)をカットしていた時。相棒のテミにばさりと枝を乗せたところ、変なものがくっついていることに気づいた。

どろんこのカナブンのようなもの。

その下の土に、小さな穴もふたつ空いていた。

よく見ると背中が割れて白い紐のようなものが出ていて、これを見て初めて「もしや蝉かな?」と思った。
盛口満先生の著書で、蝉やアリも呼吸をするのに、口ではなくて気門という管で、体内へ直接空気を取り込むと読んだ。そして蝉の抜け殻の白い紐は、この気管の皮まで器用に脱いだ証拠なのだと。

でも知っている蝉の抜け殻は茶色くてツルツルの半透明だし、くっついていた位置も地面から10センチ程と低い草の枝だし、何しろどろんこでカピカピだし、と家に帰って調べる。

どうやらこれはニイニイゼミ、という種類らしい。

  • 幼虫は多湿の土中に生息するため乾燥した公園などでは見つけにくい
    (最近乾燥への耐性をつけた可能性が高く、都心部でも増加傾向)
  • 他の蝉より早く梅雨時から鳴き始める(6月〜、8月には少なくなる)
  • 成虫は桜の木によく集まり、低い枝によく止まる
  • 体の灰褐色と翅のまだら模様は樹皮に紛れる保護色(芸術点高し)
  • 一世代は4年ほど

土は文句なく多湿だし、成虫が止まっていたのもサクラ科の杏の低い枝だし、これは間違いない。

幼虫の体の表面がざらざらで、こねた泥を体で擦りつけて孔道の内壁に塗るから、殻がどろんこになるらしい。泥をとったら普通の蝉の抜け殻とちゃんと似る。
そんなので空気は取り込みにくくないのかしら、という疑問もあるけれど 、小道を機械を使わずに作ってよかったという気持ちがいちばん。

「ユンボを使えば簡単だよ」と夫にもいわれたけれど、機械を使えば知らず知らずに傷つけてしまう生き物が多そうで、それが怖くてえっちらおっちら作業をしたのだ。

ちなみに、どろんこの理由に、他の蝉よりも動きがとろく、高いところまで上がれず捕食されやすいので泥で身を隠しているという説もあって、これは信憑性よりも何だか可愛くて忘れないと思う。

子ども時間のやり直し 昆虫あれこれ

記事全体の中から前後の記事

同じカテゴリー[ センスオブワンダー ]の前後の記事

同じシリーズ[ 子ども時間のやり直し ]の前後の記事

同じ著者[ 妻執筆 ]の前後の記事