東京を卒業してのんびり暮らしをしようと思った

  東京を卒業してのんびり暮らしをしようと思った

東京暮らし

東京タワーへお散歩にいけるところに住んで数年。
杉並区、渋谷区と住んで、東京は最後にしようと思って、ここに住み始めた。
決して東京が嫌いなわけではなく、東京の暮らしは、性に合っていた。
隣の人が誰なのかも知らない。
どんな格好をしていても、いつどこを歩いていても、誰も気にしない。

儀礼的無関心。

他人を凝視することはなく、他人が存在していることを認めたうえで、無関心でいてくれる。無関心を装ってくれる。
大都会で暮らす人々が発展させた人間関係の方法。
東京には、緑や公園も多い。
いろいろな展覧会もあって、芸術鑑賞にもすぐいける。
早朝からカフェで仕事や読書をしたり、国会図書館で有意義な時間を過ごしたり、自由な時間を過ごせる。

あえて言えば、東京の暮らしが好き。

だけど、東京を離れたいと思った。
東京の暮らしは疲弊するというけれど、必ずしもそんなことはなかった。
どこで暮らすかではなく、誰となにをするか。
フリーランスになってから、満員電車には乗っていない。
起きる時間も仕事をする時間も場所も自由で、いやな人とは付き合わず、仕事も仕事をする人も選べる。
ストレスが少ない暮らし。

だけど、東京を離れようと思った。

多くのお店、看板、音、人、車、、情報が多すぎる。
僕が住んでいたところは、ちゃんとした人が多くて、ちょっとコンビニに行くにも少しは気をつかう。
人の目とか気にしない方ではあるけれど、ちゃんとした服を着て、ちゃんとした仕事をして、ちゃんとした態度をして、
ではなく、しなければ、と思ってしまい、ひとと自分を比べてしまう。

もともと、社会で生きていくのが上手ではなく、人付き合いも苦手。

だからこそ東京が合っているけれど、同じ理由で東京を離れたいと思っていた。

底辺のフリーターとして東京に住み始め、人生に流されているうちに、いつの間にか、一流大学出身や一流企業で働く人たちとお仕事をさせていただいていた。
フリーランスとなった僕に、大きな仕事を任せてくれたり、○千万出すから会社やらない?と言ってくれる人がいたり、ありがたかった。
でも、東京のど真ん中で仕事をしていると、利用しあったり、裏切ったり、お金や、クラブや、ギラギラしたそういう人間の姿もみた。
性に合わなかった。

もうひとつ大きな理由は、東京は土地が高い。
物価はむしろ安いと思うけれど、土地・家賃だけはとても高い。
働くだけの人生ではなく、のんびりの合間に必要なぶん働くだけで生きていきたい僕にとって、家賃を吸い取られる東京はもうそろそろ卒業でもいいと思っていた。
時給で働くフリーターとしてボロボロのアパートで暮らし始めた東京。
フリーランスとなって相変わらず不安定ではあっても、収入は数倍になるときもあった。
お金は必要なだけあれば、生活は自然と収入にあわせられていく。
必要なだけの収入がないと大変だけれど、必要なだけあればいい。

東京から約1時間の郊外で育った僕は、東京への憧れもそれほどなく、都心部に住みノマドワーカーをしてみたり、もう十分東京は楽しんだ。

アラフォーになって、もっと静かなところで、人と関わらないのは変わらず、働くために生きるのではなく、ただ生きるために。

物件探し

数年前から、なんとなく地方の物件情報をみていた。
長野か、山梨か、静岡あたり。
伊豆の山中に500万円の物件があったときは、本当に迷った。
「敷地内に小川が流れています」「隣家は数キロ先」という、本当の山中。
ひとりでのんびり生きるだけなら、月10万円くらいの収入でも暮らしていけそう。
でも行動力がない僕は結局なにもせず、記憶に残っただけとなった。

数年後、生まれてから一度も結婚をしたいと思ったことがなかった僕が、なぜか結婚をし、同じような感性の妻と物件探し遊びをしていた。
妻は10年以上物件探しを本気でしていたベテラン。
宅建も持っていないのに「市街化調整区域」だの「準防火地域」だの詳しかった。
若いときに宅建を取っていた僕はすっかり忘れていたのに。

物件の条件は、広い庭があること。
例えば500㎡って、数字だけみるとすごいけど、実際に見に行くと「これ?」ってなるらしい。
仕事の関係で、週に1〜2回は都心部に出られる場所。
できれば平屋。
そして、田舎過ぎないこと。

田舎の教科書」という本を読んで、田舎の恐ろしさを学んでいた。

  • 「地域の雪かきは若い者の仕事(アラフォーはすごい若い!)」
  • 「挨拶は返事がこなくてもし続ける」
  • 「ほんの些細なことも地域の皆様は全部知っている」
  • 「消防団や海の家は強制参加」

普通の田舎暮らしがしたいわけではなく、田舎に住んでも都内と同じように「無交渉」でいきたい私たちにとって、本当の田舎はハードルが高すぎる。

各地の空家バンクを調べたり、物件情報を調べたりしているとき、首都圏にたまたま1件の物件をみつけた。
「古屋付きの土地1,200㎡」「海まで徒歩」
妻が言うには、多分なにか間違えている。この土地でこんなに安いわけがない。と。
この少し前に車が納車されていたこともあって、すぐに見に行こうと言って不動産屋さんに連絡を入れる妻。
行動力すごい。

途中いろいろあったけれど、結局、はじめてふたりで見に行った、この家に決めた。

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