野犬と暮らす

温かな隙間風

  温かな隙間風

我が家へ来て1週間程が経った、3月5日頃になると、ハンナは別居しているこぶちゃんたちに会いたそうなそぶりをするようになった。

遠隔カメラで別部屋からみていたら、ケージ越しにのぞき込んでいる。クレートから出たことだけで、大進歩である。

もちろん人が部屋に入ると、慌ててクレートへ戻る。毎度のことながら、新鮮に悲しい。
仲良くなりたい仲良くなりたいと念じるが通じず、ハンナのペースで心の扉が開くのを待つほかない。

今は隙間風程度だろうか。表情は少し柔らかくなったような気がする。

遠隔カメラの映像

団体さんに細かに報告をしてアドバイスをもらい、「遠慮なく触ってみる」という方法を試すことにした。犬は遠慮や怖いという気持ちを敏感に感じ取るらしい。

怖くはなかったものの、遠慮はビシバシ出ていただろう。触ってみるとパサパサの毛で、ビクッと怯えられた。また新鮮に悲しい。

この頃になるとこぶちゃんたちに、数組お見合いのお申し込みをいただいた。本当にありがたいことである。

出生も、成犬時のサイズもよくわからない野犬の子で、皮膚の状態も決して良くはないのに「家族に迎えたい」「選んでくださるなら」と言っていただける。

もちろん可愛いうえに、気立ても良く、どの子も私たちには充分すぎる程だったけれど、それは誰もがそう思ってくれるとは限らない。血統書付きの子が良いという人だって、たくさんいるのだ。

私たちはペットショップで命を買わないが、ペットショップを批判する気も、県政や法律に口出しをする気も、保護犬を声高に宣伝する気も無い。

自分たちの周りのことを、ただ静かに見つめて暮らしたい。

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