野犬と暮らす

ぴかぴかの別居

  ぴかぴかの別居

団体さんや獣医さんにも相談し、子犬たちは自宅でシャンプーをした。
母犬は病院で検査入院とシャンプーをしようとするも、頑としてクレートから出ない。無理に出そうとすると、最後の抵抗というように恐々歯を見せた。

母犬は忍耐強く、優しい、おとなしい子なのだ。保健所でも決して攻撃的になることはなく、子犬を取り上げても抵抗しなかったと聞いた。
病院では、もう恐怖でどうにもならなくなって歯を見せたものの、本当に噛むつもりはない様子だったと夫が言っていた。

母犬にはハンナ、と名前をつけた。
優しいやわらかい響き。まだ2〜3歳ぐらい、今回が初産ではないかとのこと。

子犬たちには里親さんにつけてもらおうと、あえて名付けはせず、まとめて「こぶちゃんたち」と呼びならわした。
クンクンやキャンキャンではなく、ブイブイと鳴き、2.5頭身のマズルの短い姿は想像していた子犬とは違い、こぶたのようだったのだ。

本当は、帰りの車であれこれ名前を考えていたけれど、自分のせいで全員とは暮らせないかもしれない。名前は初めにあげるギフトだから、里親さんにつけてもらいたいと思った。

それでも、必要なだけはうちに居て兄弟と暮らし自然と親離れをし、安定した情緒の子に育ってほしい。母犬は難しい子だから、せめてこの子だけはうちの子として育てたい。
それは夫と相談して決めた。

こぶちゃんたちは、保健所の見立てでは生後1〜2週間とのことだったが、地元の獣医さんに診てもらったところ、歯の生え具合などから生後2ヶ月弱ではないだろうかとのことで、驚いた。

歯が生えているなら、おっぱいを噛まれて痛かっただろう。車の中では緊張とこれからへの恐怖で、それどころではなかっただけかもしれない。

ぴかぴかになったこぶちゃんと、病院の恐怖で銅像のようになったハンナは、分離しながらもケージ越しにお互いがみえるように隣り合い、24時間空気清浄機とエアコンが稼働する部屋で暮らし始めた。

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