野犬と暮らす

大仕事ひとまず完遂

  大仕事ひとまず完遂

懸念事項だったハンナの検査と避妊手術の為の入院がおわった。
我が家に来てからほぼ丸7ヶ月。

目覚ましくは無いけれど、少しずつ少しずつ、わからないくらいのペースで何かがきっと変わってきているはず(と信じたい)。

人からごはんや水が差し出されること、ケージというエリアで暮らすこと(リードさえつけさせてくれるならお散歩だってOKなんですよ)、時々洗われたりすること、そして名前というものを呼ばれること。

ハンナの目線で見れば、ただひもじさや天災という恐ろしいものはあっても、自由気ままに山野で暮らしていたのに、ある日突然人間に捕獲され、子どもを取り上げられたりもして、遠く移動し、勝手の違う生活を強いられる。よくわからない人間というものが、常に近くをウロウロしている緊張感。

それは「拉致」や「誘拐」と何が違うのか。
私たちも正しさや正解は全然わからない。
わかっているのは、今はまだ、この状況が幸せとは言えないだろうな、ということだけ。

夫のことはまだまだ怖いらしいけれど、私のことは怖くはなくなった。もちろん好きではない。
深夜の寝静まった時間か、外出時(カメラで監視)にしか決して食べ物を口にしなかったのが、おやつなら割と食べるようになった。でも手からではない。投げるか、近くに置くかすればサッと幻のように食べる。

ハンナ、と呼べば顔を向ける。目を合わせなければ、落ち着いた姿勢のままで視線を向けている。でもそれは警戒のために。

保護した時には、いつか笑ってくれたらいいなと楽天的に思っていたけれど、日が経つ毎にまた別の考えが湧き上がってきている。

ハンナたちがいた山口県と結ぶ便も通る

私たちがもし本当の大金持ちで無人島をひとつ買えるくらいだったら、避妊・去勢手術をした野犬たちを島で自由にさせてやるのに。
水やごはんは餌場にくれば、毎日新鮮なものが食べられる。雨風をしのげる防空壕のようなものも、島にはいくつかある。
そんな暮らしの方がずっと、ハンナは幸せなのではないだろうか。そんな風に夢想したりする。

法律に詳しい夫に、なぜ野良猫はTNRできて、野良犬(野犬)はダメなのかと聞いたら、犬には狂犬病予防法というものが適用されるからだと教えてくれた。
ノイヌ、ノネコというのはどう違うのか。私が無知であることは承知で、世間さまはみんな深く周知のことなのだろうか。

「動物愛護週間」「ペットショップへ行く前に」「保護犬を家族に」そういう言葉は良く聞くし、決して間違っているとは思わないけれど、反面、本物の野犬は「愛護」されたり人間の家族にされたりすることを、心から望んでいるのだろうかとわからなくなってしまう。

もちろん、初めから人と暮らした経験のある飼育放棄や迷子になった子たちについては、また全く別の話。保護や新しい家族は素敵な出会いと言えるだろう。

口輪もダブルリードも念の為の装着

ハンナに戻って、今回の避妊手術は無事に終わり、血液検査も何も問題がなかった。
 獣医さんは子犬共々本当に良くしてくださっていて、再来院の負担を軽減するためにと、抜糸が必要ない方法で縫合してくれた。

外生活だったので、罹患を心配していたフィラリアもまさかの陰性。歯もとてもきれいで、まだ2歳になるくらいではないか。
2回目のヒートで妊娠、今回初めての出産だったのではないだろうかとのこと。

ただ、鎮静剤投与後も通常すぐにグッタリするはずが、雪山の遭難者もかようかと思うくらいにウトウトしかけてはハッと我に帰り身構える、というのを繰り返した。術後の麻酔の覚め方もほかの犬では考えられないほどの速さだったという。

今回も摘出したものを見せてもらった。※閲覧注意

ニナよりも倍くらい大きくておどろいた。
ニナはまだ子犬だったので、子宮も成長過程だったこと、経産婦の方が脂肪がついて大きくなることなど、教えてもらった。

ここからあの4頭は出てきたのかぁと感慨深い。命はとても不思議。
今後はホルモンバランスも落ち着くので、少し情緒も安定するのでは、と言われてそこは素直に期待しつつ嬉しい。
ホルモンというものも、不思議で謎めいた存在である。

そして備忘録まで、前夜の絶食開始時刻までになんとかハンナにお腹いっぱい食べさせたい、という親心で美味しい缶詰をあげるも、大方こぶ平さんたちがぺろり。
結局一晩で9缶もあけるという、大盤振る舞いをしたのだった。

ビーフは高いんですよ…
ぺろり!

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